#貧血症状が半年前程から持続しておりますが、1月前の血液検査では、11g/dlでした。鉄分が欠乏しているのでしょうか?
鉄欠乏性貧血の診断基準と分類に関して、厳密には循環赤血球量の減少した状態と定義されますが、通常は血液の血色素量(ヘモグロビン濃度)が低下した状態と考えて良いでしょう。成人では男性13g/dl、女性12g/dl以下がこれに該当しますが、高齢者では11g/dl以下を貧血と考えれば良いでしょう。
貧血原因の目安、分類に関しては、平均赤血球容積(MCV)により次の3タイプに分類されます。
小球性貧血:MCVが80未満のもの
正球性貧血:MCVが80~100(正常)のもの
大球性貧血:MCVが100より大きいもの
MCVによる貧血の分類の詳細としては、下記の通りです。
小球性貧血(MCV<80)
1.鉄欠乏性貧血:慢性の出血によることが多いです。血性鉄低値、フェリチン低値。
2.サラセミア:グロビン合成能の先天的な低下による。
3.鉄芽球性貧血:ヘム合成の異常で、鉄芽球の増加が特徴的。
4.慢性疾患に伴う貧血:慢性感染症・慢性炎症性疾患・悪性腫瘍に伴う貧血等。
正球性貧血(80<MCV<100)
1.急性出血による貧血:消化管出血など
2.溶血性貧血
a)赤血球自身に原因:先天性→遺伝性球状赤血球症(HS)、後天性→発作性夜間血色素尿症(PNH)
b)赤血球以外に原因:抗体によるもの→自己免疫性溶血性貧血、抗体以外→機械的障害による溶血性貧血
3.再生不良性貧血
4.骨髄癆性貧血:癌の骨髄転移・白血病・骨髄繊維症など
5.続発性貧血:腎疾患・内分泌疾患・肝疾患・慢性感染症・悪性腫瘍
大球性貧血(MCV>100)
1.巨赤芽球性貧血
a)ビタミンB12欠乏:悪性貧血・胃摘出後
b)葉酸欠乏性:吸収障害・菜食主義者・薬剤
c)赤白血病
2.その他の大球性貧血:肝疾患・再生不良性貧血・溶血性貧血の一部
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