巨赤芽球性貧血について。
管理栄養士の国家試験の勉強中です。
過去問を解いていて、分からないところがありましたので質問させてください。
問:巨赤芽球性貧血に関する記述である。正しいものの組み合わせはどれか。
a.エリスロポエチン合成障害。
b.ビタミンB6の吸収障害。
c.葉酸欠乏を原因とするものでは神経症状を合併。
d.胃全摘後の患者に多くみられる。
正解(正しいもの)には、cとdと書いてあるのですが、cの神経症状を伴うのはビタミンB12不足の悪性貧血の場合ではないのでしょうか?
他社のテキストには「葉酸の欠乏では神経症状は伴わない」とありますし・・・。
どう解釈すればよいのかお教えください。よろしくお願いします。
巨赤芽球性貧血とは赤血球の前駆細胞である赤芽球の核酸合成障害により骨髄像で特徴的な巨赤芽球の出現を見る貧血の「総称」です。ビタミンのうちB12と葉酸はどちらも血球が出来る特に細胞を増やすのに必要です。長いこと欠乏が続くと貧血になります。どちらの貧血でも、やはりすべての血球が減ります。骨髄の中の赤芽球は、細胞分裂がうまくゆかないので大きくなり、『巨赤芽球』と呼びます。この赤芽球から出来た赤血球もまた大型です。赤芽球の成熟がうまくゆかず、赤血球になる前に壊れてしまうものも多くあります(無効造血)。同じ様な変化は白血球や血小板の方にも現れます。その結果、この貧血[巨赤芽球貧血]では大きい赤血球をもち、白血球や血小板も減った『汎血球減少症』を伴う貧血になります。この他、細胞増殖の異常がいろいろなところに現れ、『舌がつるつる』になったり、『見事な白髪』になるなどの他、神経系にも異常が現れ、ひどいときには『精神異常』の症状も出て、長い間、原因不明のまま精神科へ入院させられていた人もいます。
この巨赤芽球貧血の原因はビタミンB12と葉酸のどちらかの不足です。ビタミンB12 は胃から吸収されますが、その場合に胃液の中に内因子と呼ばれるB12 の吸収に必要な液性因子があります。この内因子を壊す抗体が出来たり、又は手術で胃を全部摘出した後にはB12が足りなくなります。もっともこの場合でも、肝臓には体内で使う2年分くらいの貯蔵があるために、手術をして2年くらいたってから貧血が現れるのです。内因子抗体に由って起こるB12欠乏による貧血を「悪性貧血」といいます。「悪性貧血」は胃の病気(別名A型慢性胃炎)なのです。胃全摘後のB12欠乏性貧血は悪性貧血と呼ばないことに注意して下さい。
B12欠乏で生じる神経症状を亜急性連合性脊髄変性症と呼びます。脊髄側索と後索の退行性変化による病変であり、ビタミンB12欠乏によるメチオニン合成系の代謝異常に起因する と考えられています。ご指摘のごとく葉酸欠乏では生じません。だからCは誤りでこの問題の答えはdのみになります。
ちなみにB6欠乏でおこるのはアルコールの多飲で生じる鉄芽急性貧血であり
エリスロポエチン合成障害で起るのは腎性貧血です。
このようにこの手の問題集には誤答がしばしば見られます。他社の回答集を併用して『嘘』を覚えないようにしましょう。国家試験頑張って下さい。
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